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2013年11月1日

シニアマンション 分譲型の可能性 (1) 高齢者の需要掴むか 入居者期待は医療や介護

中高齢者を対象にしたシニア向け分譲マンションの供給に、首都圏で新たに取り組むマンションディベロッパーが出てきている。フージャースコーポレーション(東京都千代田区)は11月から、茨城県つくばみらい市で初弾の販売を開始する(ダイヤモンド地所とのJV事業)。コスモスイニシア(東京都港区)は、埼玉県さいたま市の再開発エリアで第1号物件の計画を進めている。06年以降、関西圏で供給が増えたシニア分譲だが、リーマンショックを経てその波は消えた。今後、シニア分譲が市場に定着する可能性はあるのか。4週にわたって検証する。

首都圏でデベが挑戦

 エントランススペースにソファやグランドピアノが置かれている。フージャースコーポレーションが供給する初のシニア分譲マンション「デュオセーヌつくばみらい」のマンションギャラリーだ。同物件のロビーをイメージして造られた(写真左)。

 「駅から近くて住環境も良い。周辺には医療機関が整っている。シニア需要に合わせやすい場所と判断して供給を決めた」

 同社ソリューション事業部シニア事業課の佐藤多聞課長は、こう話す。

 地上9階建て総戸数150戸のマンション内はバリアフリー化はもちろん、天然温泉やレストランを設置する。カラオケや麻雀といった娯楽スペースも計画した。

 また、高齢者が暮らす住宅としては安心、安全の提供が要だ。訪問介護事業所や訪問看護事業所などを併設して、テナントを誘致する。同社グループの管理会社「フージャースリビングサービス」が雇用する看護師が常駐すると同時に、訪問介護・訪問看護サービスを提供する事業者と連携の協定を結ぶ。近隣の病院とも提携している。介護サービスなどは入居者それぞれが個別に必要なものを契約する。

 専有面積は55~73m2。各居室などには緊急コールボタンを置く。トイレには空間センサーを設置。12時間以上、トイレの利用がないと管理運営室に通知する。

 契約者は単身世帯や夫婦世帯を想定する。50歳以上で自立した生活ができることを入居条件にしている。

 首都圏のシニア分譲を巡っては、コスモスイニシアも計画を進めている。JR武蔵浦和駅前で進むマンション5棟などを建設する再開発事業の一環で、シニア分譲マンション1棟を供給する。総戸数は160戸。15年1月頃の販売開始を予定している。

 両社はシニア分譲について、今後も継続的に取り組みを進めていく考えだ。「年1棟程度のペースで供給していきたい」(フージャースコーポレーション)、「第2弾の検討にも入っている」(コスモスイニシア)と話している。

居住性高い住宅

 ディベロッパーがシニア分譲に取り組む背景には、「高齢者人口の増加」や「デベとしての事業の蓄積」がある。

 内閣府の13年版高齢社会白書によると、高齢者人口は将来にわたって増加が続く。総人口が減少基調に入っているのに対して、65歳以上の人口は12年の3079万人から40年には3868万人になると推計されている。「高齢者住宅」は大きな需要ボリュームを持つと言える。

 そこで「高齢者住宅」の供給動向を見ると、11年10月に登録制度がスタートした賃貸方式のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の急増が目立つ(別掲・サ高住と補助事業)。制度開始から約2年が経過した13年9月現在、12万戸を超える。一方で、分譲型は少ない。不動産協会が11年8月に公表した「高齢時代の住宅のあり方に関する研究報告書」によると、00年代に入居が開始された数は15物件・1870戸。11年以降も市場が大きく広がったというような動きは見られない。

 前出の佐藤課長は、「サ高住は専有面積が20m2前後に集約されるため、住まいとして高い居住性を保つことは難しいと考えている。入居資金はある程度割高になるが、居住性の高い分譲型を求める人は一定数いるだろう」と話す。

 また、マンションデベにとっては、賃貸よりも分譲が自然な事業手法とも言える。コスモスイニシアマンション事業部シニア事業推進室シニア事業推進課の近江秀担当課長は、「00年代後半から、シニアと呼ばれる方にどういった住宅を提供すべきか議論をしていた。高齢者専用賃貸住宅(当時・後に他の高齢者住宅制度と共にサ高住に一本化)や介護施設かといった議論もあったが、マンション分譲会社としては、やはり分譲型の商品で、というところに行き着いた」と話す。

余裕ある層が購入

 シニア分譲マンションに明確な定義はない。過去の供給物件を見ると、介護サービスなどの提供や共用施設の多さは共通点だ。加えて、「高齢者住宅」のカテゴリーで言えば、「所有権」があることは大きな特徴だ。将来の相続や売却、賃貸が可能で、購入者の資産になることが販売上のPRポイントになっている。

 一方で、一般のマンションに比べ、分譲坪単価や管理費は割高になる。高齢者住宅事情に詳しい、長谷工総合研究所の吉村直子上席主任研究員は、「坪単価は、一般のマンションに比べて約1.5倍程度。共用スペースが広い分、価格が高くなる」と説明する。同時に、見守り体制などを構築するための人件費などが管理費に上乗せされる。

 このため購入者は、「中堅所得者よりもやや上くらいになる」(吉村上席主任研究員)ようだ。また、購入者の平均年齢は70代前半という。

安心・安全を求めて

 需要者が、シニア分譲を選ぶポイントはどこか。これまで6棟のシニア分譲事業の企画に携わったハイネスコーポレーション(大阪市)の河野靖司営業部部長は、「介護や生活支援などのサービスの部分が大きい。入居時は元気だが、将来的に体が弱くなることや、夫婦でどちらかが亡くなることを想定して、早めにと選ぶ人が多い」と話す。

 実際、同社が販売代理を行い、今年9月までに総戸数503戸が完売したシニア向け分譲マンション「ザ・レジデンス芦屋スイート」(兵庫県芦屋市)の反響者の志向には、その傾向が表れている。

 販売期間約2年間に、資料請求した人やモデルルームに来場した人4959件を対象に行ったアンケートで、「購入時に重視すること」を聞くと、「医療サービス」(41.0%)が最多回答だった(右図)。更に、「介護サービス」(20.4%)や「生活支援サービス」(13.3%)が続き、一般のマンションで重視される「広さ・間取り」(0.8%)や「駅が近いこと」(0.2%)などを大きく上回った。

   ◇  ◇  ◇

 販売期間2年で、503戸が完売した「ザ・レジデンス芦屋スイート」を振り返り、ハイネスコーポレーションの河野部長は、「シニア分譲に対する需要は確実にあるのだとしみじみ感じた」と話す。

 しかし、シニア分譲の供給には、販売面や管理面でその事業特有の難しさが指摘される。事業者が考慮すべきことは何か。シニア分譲の特異性を知るため、まずは40年ほど前に熱海に誕生した国内初のシニア分譲マンションを追った。(葭本隆太)

サ高住と補助事業

 サービス付き高齢者向け住宅は、介護や医療と連携して高齢者支援サービスを提供する賃貸方式などの住宅。11年10月に登録制度がスタートした。制度開始以降、登録が急増している背景には、国土交通省の補助事業がある。戸当たり100万円を助成するもので、11年度以降、継続的に実施している。また、国交省は14年度も同様の補助を行いたい考え。14年度予算要求に盛り込んでいる。

 一方で、シニア分譲に特別の補助制度はない。一定の所得者層が入居者になるためだ。国交省住宅局安心居住推進課は、「サ高住は月々の家賃払いなどでも安心して住み続けられる住宅を整備することが目的の制度。これまでそういった住宅がなかったため、補助金などで後押ししている。分譲型などは一定の取得能力のある方が購入するもの。民間の市場の中で成り立つと考えている」と話している。

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