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2013年10月4日

定期借家 活用機運高まる 空き家問題解消にも効果

定期借家権の活用を促す動きが出始めた。国土交通省の「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」が定期借家権の活用を提唱しているのもその一つ。業界団体の定期借家推進協議会(伊藤博会長)は今年7月に開いた総会で、組織体制を強化することを決めた。人気上昇中のシェアハウスでは、ルールを守らない入居者には退去してもらう必要があるため定期借家契約が必須だ。しかし考えてみれば、一般の賃貸住宅も不良入居者には退去を求めたいのだから、定期借家権を導入すべきと考えるオーナーが現れても不思議ではない。新たな機運に包まれる定期借家権を追った。

 国土交通省は9月2日、「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」を開いた。空き家になっている個人の持ち家が増える中、賃貸に出すことで流通促進を図るのが狙い。適切な管理が行われていない空き家が防犯、防災、景観などの面で大きな問題を生じている。そこで、そうした個人空き家を適切に管理しつつ、賃貸流通を促進するためのルールづくりなどを検討する。

 たとえば一般個人が、賃貸借の慣習やルールを把握し、賃貸人として賃借人に相対すというのはかなり難しい。特に貸す側が高齢者の場合、インターネットなどによる情報収集力で若い世代との格差が生じる。

 また、国交省の担当者は「やはり、一般の人だと普通の賃貸借では物件が返って来ないのではという不安があるので流通が進まない。その意味で定期借家の活用は有効ではないか」と話す。そこで検討会では、普通賃貸借契約だけでなく定期借家のルールなどを分かりやすくまとめた冊子・パンフレットを作成し、頒布することも予定している。

業界、普及へ組織強化

 不動産協会や全国宅地建物取引業協会連合会などの不動産業界団体で組織する定期借家推進協議会も、今年度から組織体制を強化し普及活動を加速させる。これまで首都圏中心だった会員を全国規模に広げるため、各都道府県の宅建協会や他団体に入会を呼びかけている。既に正会員6団体、賛助会員15団体が新たに加わった(いずれも宅建協会)。各地の会員を通して、定期借家制度活用の裾野を広げていく方針だ。

 また、情報の浸透にも努めていく。定期借家物件が伸びない理由の1つに、不動産事業者や家主に制度自体が知られていないという課題がある。同協議会では、Q&A形式で契約手続きの流れや注意点を解説した冊子「すぐに役立つ宅建業者のための定期借家基礎知識」を作成。現在、会員に配布するとともに、監修した弁護士が講師を務める研修会も要望に応じて行っている。また、今年度中には家主向けに、制度の理解を深め活用を促すためのリーフレットを作成する予定だ。定期借家を有効的に使うためのアイデアや成功事例を集めて情報提供していく。

法制度の見直し急務

 更に、制度面の見直しも必要だ。現在、家主に代わって仲介業者が重要事項説明と重複する事前説明をしたり、契約期間が1年以上の場合には終了の6カ月前までに通知することが求められている。契約実務に携わる事業者からは、「普通借家契約に比べて事務手続きが煩雑」という指摘が多い。協議会では今後、「タイミングを見ながら法制度の改善に向けて働きかけていく」方針だ。

中世古不動産当初は全物件を定借に

 定期借家権制度の発足と同時にオーナーを説得し、積極的に活用を図ってきた不動産業者もいる。東京都豊島区で地域密着の売買・賃貸仲介事業を手がける中世古不動産(中世古利行代表)だ。

 同社は制度が創設されると間もなく、家主から預かっていた物件で新規に入居するときは、すべて定期借家契約に切り替えた。定期借家は契約期間が満了すると、正当事由の如何に関わらず借家契約は終了する。家主が再契約をしない限り、借り手は明け渡しをせざるを得ない。家主側からみると、家賃を滞納したり、夜中に騒いで近隣に迷惑をかけるような〝不良入居者〟を立ち退き料も必要なく排除できるのがメリットと考えたからだ。物件を管理する立場としても、そういうトラブル対処にかかる手間を減らすことができる。

2年前から普通借家に

 しかし、「2年ほど前から、定期借家契約は見合わせている」と残念そうに話す。「今は、供給過剰で借り手市場。借り手にとってのメリットが見えにくい状態では、導入は難しい」という。普通借家契約よりも賃料を下げる方策も考えられるが、元々さほど高額ではない築古物件などは下げるにも限界がある。

 加えて賃料相場が下落基調にある中、安めの設定にしても競争力を打ち出しにくいのが現状だ。契約を結ぶ際、借り手側も、期間終了後に家主が再契約に応じるか不安は残る。市場が厳しい中、やはり借り手に敬遠されてしまうのであれば、普通借家契約のほうが家主にとって得策と判断せざるを得なかったようだ。

 同氏は最後にこう語った。「結局、普通借家がある限り、定期借家を普及させるのは難しい。そもそも家主、借り手とも定期借家制度の内容を正確に知っている人がまだ少ない。普及のためには知識の周知と意識改革が必要だ」

積極的管理会社も アートアベニュー

 一方、管理会社のアートアベニューは一貫して定期借家を導入し続けている。

 同社の藤澤雅義社長は言う。

 「定借は、オーナーにメリットがあるので利用している。しかし、当社が仲介業者ならば、定借は手続きが面倒だし、客が嫌がる恐れもあるので利用しない。オーナーの立場に立つ管理会社であるからこその発想だ」「契約期間を1年とし、契約期間が終了しても占有していた場合は、賃料相当額の倍額を請求する契約をしている。そのため、退去要請などは通常よりも高い効果を出すことができる。法律的にもなんら問題ない」

 「また、オーナーから物件を賃借し、入居者に対しては当社が貸主となっていることで万一の訴訟も進めやすくなっている。当社が貸主だから再契約ごとの重要事項説明も不要だ。転貸借と定借は相性がいいと考えている」

 「入居者には、定借だからこそ不良借家人を追い出しやすくなり、住みよい環境になっているという定借最大のメリットも説明している」

再契約型で成功

 同社は2000年の定期借家施行時から、すべて定期借家権で契約。累計2万戸を超えている。定期借家の導入が円滑に進んでいる最大の要因は、同社は契約書に「期間終了後も原則再契約をする」という条文を入れていることだ。つまり、家賃滞納などの契約違反がないかぎり、再契約することを説明している。至極当たり前のことで、問題なく申し込みが入るという。同社は弁護士と協議し、これを「再契約型定期借家権」と定義している。

追い出す家主いない

 【解説】 今の時代、きちんと賃料を払っている入居者を追い出す家主はいない。一日でも長く入居してもらうことが賃貸住宅経営の要だからだ。ただし、賃料滞納やルールを守らない不良入居者には一刻も早く退去してもらう必要がある。これが基本である。定期借家制度は、この基本を実現する唯一の手段だ。

 入居者にとっても定期借家権を導入している賃貸住宅は魅力があるということが、あまりにも知られていない。集合住宅にとって究極の価値は不良入居者がいないということである。

 更に、定期借家制度は賃料増減請求権を排除する特約が有効なので、何年間かの賃料を固定することができる。

 賃料が下落傾向にある時代は、賃料を長期に固定できることが家主にとって大きなメリットになる。その代わり、借り手が納得できるように相場よりもやや低めの賃料としなければならないだろう。

 金額について双方が対等に交渉する必要がある。家主と借主が対等の関係になれば、サービスに見合った賃料が基本となり市場が透明化する。そのためにも定期借家の普及が急務である。 (本多信博)

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